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Z世代の
”共感力”から
学ぶこと

2018.09.10 10:00:44

「“ぼっち”と思われるのはイヤですよね。自分は“キョロ充”だと思います」

この言葉の意味、正確に読み取れますか?

こめられた気持ちを読み取れたアナタは「Z世代博士」かもしれません。

“ぼっち”“キョロ充”。どちらもZ世代、特に大学生の間で、日常的に使われている言葉です。

「ぼっち」とは、「ひとりぼっち」の略から生まれた言葉。

一緒に行動する仲間がいない、友達と一緒にいない、そんな状態を指しています。

「キョロ充」とは、常に友達を探していて、仲間の行動に同調しやすい人のこと。

「キョロキョロ」しながら、頑張って「リア充」のふりをしている…そんな様子からできました。

主に大学生、「授業を一緒に受ける友人」間のやり取りとして使われています。

※「リア充」とは「リアルが充実している」さま。友達が多く、遊びやバイトの予定がたくさんある、恋人がいる、等の状態を指します。

冒頭の文章を意訳すると。

「友達がいない、と思われるのはイヤですよね。自分は、仲間からハブられないよう、リア充に見えるよう頑張っています」

なんだか暗すぎるセリフになってしまいました。

こういう時、簡単に表現できる略語は便利ですね。

ポップに自虐しつつ、その場を暗くせずに済みます。

「“ぼっち”だし予定ないわw 大学?“キョロ充”の極み(笑)」

もっといまどき大学生っぽく言い換えると、こんな感じでしょうか。

(イラスト:前田真由美
***
若年世代3000名を対象に行った「Z世代レポート2018」の調査結果をもとに、インタビューを行った際、

この“ぼっち”と“キョロ充”、ふたつの言葉にまつわる話を、たくさん耳にしました。

「1人で行動することに抵抗はありますか?」という質問に、現役Z世代の大学生たちは、こう答えています。

「1人で行動するのは別に全然行けますよ。ただ、大学だと一人でいるのは嫌かな」

「普段は大丈夫なんですけど、知ってる人がいるところ…というか、大学の中で1人でご飯を食べるのがイヤ

「なんでですかね…?大学で一人でいるときに友達に会うと、すごくイヤなんですよ。ちょっと気後れする感じ

(19歳 女性 Nさん)

彼女は、当時大学2年生。大学には、授業友達やサークル仲間など、ある程度の知り合いがいます。

普段は1人でショッピングや映画にも行きますが、大学だとなぜか「一人がイヤ」だと思ってしまうそうです。

特に学食など、同年代がワイワイと集まるエリアでは、「ぼっち飯」に抵抗が出てしまうといいます。

最近では、こうした事情を考慮してか、学食内に1人で食事ができるエリアを設ける大学が増えてきました。

通称「ぼっち席」なんて呼ばれています。

参照:「もう1人でも怖くない」 大学公認“ぼっち席”学食に広がる(産経ニュース 2015/01/12)

また、「ぼっち」だと思われないために、こんな小芝居(?)を挟む学生もいました。

「1人のときにスマホを見ながらわざとキョロキョロして『今、友達と待ち合わせ中です』みたいな体(てい)にしたことがあります」

「何度も時計見たり、スマホを出したりしまったり」

「前は、荷物ごと動かして『待ち合わせ場所が変わったわ~』というテイにしたこともあります(笑)。小芝居はしがちですよね~」

(20歳 女性 Fさん)

Z世代と「自己肯定感」を考える

調査の中では、以下の「自分自身について」聞いた項目で、様々な特徴があらわれています。

△生年代別・自分自身についての考え方(「Z世代レポート2018」調査結果より抜粋)

どの世代も「今の自分に自信がある」と答えた人は、平均しても 10%以下ですね。

中でも特に Z 世代男性は、他世代の男性と大きく差があることがわかります。

他にも Z 世代女性では、「ふとした瞬間に孤独を感じる」割合が 55%と、抜きん出て高 くなっています。

この調査結果について、現役学生6名に聞いてみたところ、全員が「共感できる」と答えました。

「私も、いまの自分自身に自信はないです。が、今の自分の環境は 恵まれていると思っています

「友達も先輩・後輩もいい人ばかりだし、楽しく過ごせて います。相変わらず自信はないですけど」

(20歳 女性 Fさん)

「共感できます。高校生のときは『自己肯定感』がすごく低くかったので…でも以前そうだったから、今はすごく楽しいと思えるのかもしれないです」

友達作りも、SNS を使ったらうまくいくように なって、少し自信になりました。それで今は(自分の世界が)広がったんだと思います」

(20歳 男性 Mさん)

二人とも現在の状態を、周りの環境も含めた上で、冷静に分析しています。

「自信のなさ」を受け止めてきたからこそ、「自信がある」とは言い切らない姿勢が感じ取れます。

Z世代は「気遣い力」に敏感

「自信がない」ことに由来するのか、自分の対人関係においても、特に人へ気を遣う様子が垣間見えました。

「みんなで話している時は、なるべく和を乱さないように、と思います」

「ある程度、引っ張ってくれる相手の方が、自分の意見も言いやすい。誰も言わないと、私が勝手に決めてるみたいになるのがイヤで、あまり言えないです」

これだけ聞くと、彼女は少し消極的な人に思えますが、

重ねて聞いていくにつれ、彼女は対人関係の理想に、しっかりとした意見を持ってることがわかりました。

優しく、周りの意見もちゃんと聞いて、かつ自分の意見をしっかりと言える人は、すごく素晴らしい人って思われます」

「けど、ちょっとでもマイナス要素を持ちつ つ、自分の意見を言っちゃう人は、あんまりよく思われない。単純に強引な人は、ワガママだよねと思われるし、自分の意見を言う気もなくします」

(19歳 女性 Nさん)

自身がナチュラルに気を遣うからこそ、Z 世代は相手の「気遣い力」に、非常に敏感です。

裏付けのない主張や、排他的な発言、高圧的な立ち居振る舞いなど、

誰かを不快にさせる要素を少しでも感じると、たとえ自分が対象ではなくても、抵抗感を持ちます

若年世代に好かれない政治家やタレント……思い当たる人が何人かいると思いますが、

軒並み、上記の特徴を網羅していますよね。

ソーシャルネイティブたちのコミュニケーション

もちろん、インタビューをした中には、「”ぼっち”なんて気にしないよ」という人もいました。

「僕はグループにいることもあれば、一人でグループを見つけて入っていく時もあるし、学食で一人も全然行くので、どれも特に気になりません」

「ときどき友達に『なんで一人でいるの?やめなよ』って言われたりするんですけど、『じゃあ一緒に座る?』って言っちゃいます」

「おひとりさま、みたいな言葉もあるくらいだし、意識しちゃうと人目が気になるって人も、いるんじゃないですか。でもヒマそうだったら、僕は声かけますね。その方がみんな楽しくなるし」

(20歳 男性 Kさん)

***

 
私たちは、「ソーシャルネイティヴ」であることが、若者世代の「自己肯定感」の低さに関係していると考え、調査やインタビューを行ってきました。

SNS、スマートフォンが当たり前にある環境で、成長してきた「Z世代」は、

他者の感情を察知する能力である「社会的感受性」が非常に高くなっていることが伺えます。

反面、見られているという意識を感じやすく、人と比べてしまいがちな環境でもあるため、自己肯定感が育ちにくいともいえるでしょう。

しかし、自身の「弱み」を、様々なコミュニケーションツールを通じて分かち合うことを、Z世代は無意識のうちに行ってきました。

「Z世代」の意見を引き出すには、まずは「共感」を大切にし

心理的安全性の高い、意見の言い出しやすい場をつくることが重要です。

「共感」しあいながら、コミュニティを築いていくZ世代。

引き続き、彼ら彼女らの「生の声」を、お届けしてまいります。

©Z世代会議

Z世代会議メディア編集担当。斎藤徹教授の教え子を経て卒業後、そのまま斎藤の会社で働いている。SNSが大好きな、95年生まれの“ギリギリ”Z世代。
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