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インスタは消えるぐらいがラクでいい


スマホを構えたまま移動する若者集団
 
を見たことがありますか?
 
繁華街、観光スポットなどでよく観察される、あの集団のことです。
 
彼らは十中八九、共通の「あること」のために撮影をしています。
さて、あの若者たちはいったい、何をしているのでしょう?
 
 
「インスタ用の撮影」だと、答えは少々不十分です。
ストーリー」だと思ったあなたは、ソーシャルネイティヴと同じ感覚を持っている、と言えるでしょう。
 
 
……と言っても過言ではないぐらい、インスタグラムのキラーコンテンツ「Instagram Stories」の人気は、留まるところを知りません。
 
2017年には、全体利用者の約3分の1にあたる、2億5000万人がストーリーズを利用していたそうです。
 
 
この記事によると、ストーリーズはティーン世代の利用者(13歳〜18歳)が最も活発で、『それ以外の世代より4倍多くの時間、ストーリーズを閲覧している』とか。
 
さらにこの「ティーン世代」は、それ以外の利用者より6倍多くのストーリー投稿を行っており、『特に日本、スペイン、米国ではこのような傾向が強く見られる』といった面白いデータもありました。
 
みなさんはインスタ、やっていますか?
ストーリー機能、使ったことはありますか?
 
ストーリーって一体、何がそんなに面白く、Z世代にウケるのでしょう?
 
今回は「Z世代とインスタグラム」をテーマに、最新のZ世代事情を見ていこうと思います。
 
 
***
 
 
日本のティーン世代……もうすこし広げて「Z世代」のデータなら、こちらも負けてはいられません。私たちが行った、3000名対象の調査レポートからは、こちらのデータを見ていただきましょう。
△生年代別比較「普段SNSを使って行うこと」(『Z世代レポート2018』未公開分より抜粋)
 
SNSに写真を投稿するときは加工や編集をする」という項目には、Z世代女性の半数が回答していることがわかります。
 
 
インスタを見れば、だいたいわかる
 
 
この調査をもとに、「Z世代」大学生を対象に行ったヒアリングでは、インスタグラムの利用状況について聞いてまいりました。(協力:イノベーションチームdot
 
 
インスタは記録みたいな感じです。いつも撮っている写真を保存して、ほぼ毎日投稿しています。帰りの電車の中でゆっくり選んで、合うフィルターを決めたりします」
(18歳 女性 Nさん)
 
インスタの投稿は、週3~4回ぐらいですかね。友達と遊んでいるものや、一緒に食べたご飯の写真が多いです。『みんなに見せたい』と『保存』の両方(の意味)でUPしていて、写真は厳選しています
(20歳 男性 Mくん)
 
 
二人は、比較的アクティヴにインスタグラムを利用するユーザーです。
 
実際にNさんのページを覗いてみると、色褪せたフィルターのかかった写真や、何気ない街中の看板を写したものなど、彼女が「日常で見かけて心に残ったもの」がよくわかるページに仕上がっています。
 
Mくんのページでは、日記のように一日の楽しかったことが記録されていました。彼はコミュニティの幅が広く、様々な友人と交流があることがわかります。
 
このように、自分の生活スタイルや性格を写真で表しやすいのが、インスタグラムの一番の強みでしょう。投稿頻度や写真の選び方で、その人となりが見えてきやすいものです。
 
 
どの大学生も投稿に時間をかけていることが伺える中、やはり「ストーリー」という言葉が散見されました
 
「インスタはストーリーをやります。何を投稿しても消えちゃうので、気がラクですよね。全然くだらない、昼休みに喋っているだけの動画をあげたりします。友達もストーリーをやる人が多いですね」
(18歳 女性 Kさん)
 
 
 
ストーリーはとにかく気がラク
 
 
記事冒頭にも取り上げた「ストーリー」こと「 Instagram Stories 」は、2016 年8 月に インスタグラム 内で登場した、動画に特化した投 稿フィードのことです。
 
通常の投稿とは別枠で、15 秒以内の短い動画や写真をシェアでき、24時間でフィー ドから「自動消滅」します
(現在は自分のみ、過去のストーリー投稿を再現することができます)
 
また、フォローしている人のストーリーは、閲覧すると「既読」を付けることができます。が、これはストーリー投稿者にしか通知されません
 
 
誰が自分の投稿を見たか一目でわかり、かつ投稿者以外には見たことを知られない、という特徴は、従来の「いいね」数が一目でわかる通常の投稿とは、大きく異なります。
 
この「自動消滅」と「投稿者にしかわからない既読」が、「ストーリー」最大の特徴です。
 
 
「今は普通の投稿より、ストーリーの方が多いかな。楽だし(笑)。イベントの日はいっぱいストーリーするので、キリトリ線(※)になったりします
(20歳 男性 Yくん)
 
※ストーリーの「キリトリ線」……連続してストーリー投稿を行うこと。画面上部に表示される「シークバー」が動画ごとに連なり、「キリトリ線」のように見えることから。
 
▽参考:イノベーションチームdotのストーリー。まさしく「キリトリ線」のようなフィード
Kさん、Yくんともに、「ストーリーはラクだ」という言葉が印象的でした。
 
通常投稿は長く残るものなので、それなりに体裁を保つ意識が働きます。写真の選び方や投稿文で、その人のことがだいたいわかることを、Z世代は経験で理解しています。
 
反対に「ストーリー」なら、24時間でフィードから消えてしまうため、気負う必要がなく、瞬間の共有がしやすくなります。ストーリー専用の「フィルター」もアプリ内に用意されているので、一貫性と瞬発性に富んでいます。
 
 
 
『見られている……気がする』Z世代
 
 
これらのヒアリングからわかるのは、Z世代は特に「他者からの視点」を意識しやすい、ということです。
 
他人から自分の投稿がどう思われているのか、無意識のうちに考えているからこそ、ストーリーを「気楽だ」と捉えるのではないでしょうか?
 
 
この仮説をもとに、Z世代には「人目が気になるかどうか」についても聞いてみました。
 
人目はすごい気になりますね。すぐSNSでわかっちゃうから、何も悪いことできないですし。ビックリするぐらいすぐ広まっちゃうんですよ!スクリーンショットとかされたら怖いし、自分の行動にも気を付けますよね
(20歳 男性 Mくん)
 
 
「やっぱり見られている……いや、見られてないのはわかっているんですけど。ツイッターで誹謗中傷とか、炎上しているのを見ちゃって、やばいなぁと……」
 
何も思っていなくても、無意識に見られているような感覚になることはあります。皆がスマホ持っているのが当たり前なんで、ちょっとは気になりますよね」
(20歳 男性 Yくん)
 
 
ソーシャルネットワークが整った環境下、誰かに見られていることは当たり前なZ世代。
無意識のうちに、監視されているような感覚を覚えやすいのかもしれません。
 
SNS上でも、「人からどう見られているか」を自然と意識して、立ち居振る舞う姿が印象的でした。
 
 
***
 
 
友達と一緒にいたり、流行りの観光スポットに行ったり、カップルでデートしたり……
インスタでシェアしたくなるようなイベントは、日常にそこそこ転がっています。
 
けど、それをあからさまにたくさん投稿したら、どう思われるかわからない……
ちょっと自分のキャラとも違う気がするし……
 
そんな時に、ストーリーはめちゃくちゃ便利なのです。
消えてしまうからこそ心地よい、作りこみすぎない素の投稿ができる「ストーリー」は、これからもZ世代の間でシェアされ続けるでしょう。
 
 
 
最後に余談ですが、インスタグラムは2018年6月に、縦型の長尺動画を投稿・ザッピングできる新たなアプリ「IGTV」をリリースしました。こちらはインスタアプリ内からも見ることができ、すべての利用者が「チャンネル」を持つことができます。
 
 
15秒の一瞬を切り取る短尺動画「ストーリー」と、作りこんだ長尺動画を用意できるコンテンツフィード「IGTV」。
 
はたしてこのメディアは、Z世代にどう見られていくのでしょうか?
みなさんはどう思われますか?やっぱり今の若者向け動画メディアといえば、「TikTok」?
 
 
次回の記事もお楽しみに~。
 
 
 
©Z世代会議
『Z世代会議』は、『Z世代レポート2018』(約3000名の日本の若者世代を対象に行った調査)を詳細に分析し、リアルなZ世代の声と合わせて、記事を発信しております。
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